令和8年4月施行の貨物自動車運送事業法

令和8年4月施行の貨物自動車運送事業法

公布日:令和7年11月27日
施行日:令和8年 4月  1日


貨物運送事業を営まれている事業者に、大きく関係する法律が令和8年4月1日から施行されます。


国土交通省が発表した概要がこちらです。

国土交通省ホームページより抜粋




今後の業法改正と令和8年4月1日から施行される内容

項目 施行日 内容
➀事業許可の更新制度の導入

未定
令和10年度中
の施行を予定

トラック運送事業の許可は5年ごとの更新制とする。
施行後は、運行管理体制・輸送の安全の確保など、
杜撰な管理をしている事業者にメスが入れられ、更
新基準を満たさなければ、その内容が悪質な場合、
一般貨物運送事業を続けることが出来なくなります。
(取消の日から5年間は再び許可申請を行うことも出来
ません。)

②「適正原価」を下回る運賃
 および料金の制限

未定

トラック運送事業者が自ら貨物を運ぶ際や、他の事業
者に運送を委託する際には、「適正原価」を継続して
下回らないことを確保する。

③委託次数の制限 令和8年4月1日

元請けとして運送を引き受ける場合には、再委託の回数
2回以内に制限するよう努力義務を課す。

④違法な「白トラ」に係る荷主等
 の取り締まり

令和8年4月1日

許可や届出がなく有償で運送行為を行うトラック(白トラ)
の利用を罰則付きで禁止するとともに、白トラを利用する
荷主には是正指導を実施する。


荷主等が、白ナンバーのトラックで有償貨物運送を行う
者(以下「違法な白トラ事業者」という。)に運送委託を行
った場合に、新たに処罰の対象となります。


荷主等が、違法な白トラ事業者に運送を委託している等の
疑いがある場合には、国土交通大臣から当該荷主等に要請
等を行うことができます。
荷受人ではなく荷主


⑤貨物利用運送事業者への書面交付
 義務等の準用

令和8年4月1日

現行では貨物自動車運送事業者にのみ課されている運送契
約締結時の書面交付義務等の規定が、貨物利用運送事業者にも
新たに課されます。

⑥規定の準用 令和8年4月1日

④⑤に関する荷主・運送事業者間での調整を電磁的方法で行う
ための手続に係る規定を、貨物利用運送事業者にも準用

表④違法な「白トラ」に係る荷主等の取り締まりについて

改正のひとつに「運送業法許可や届出がなく有償で運送行為を行うトラック(白トラ)の利用を罰則付きで禁止するとともに、白トラを利用する荷主には是正指導を実施する。」と言うものがあります。
こちらの改正は非常に非常に重要な改正で、現在、一般廃棄物収集運搬・産業廃棄物収集運搬の業を営む事業者の大部分が白ナンバーで営業されていますが、許可や届出がなく有償で運送行為を行うトラック(白トラ)の利用を罰則付きで禁止するとともに、白トラを利用する荷主には是正指導を実施する。」と言う文言から「我々も運送業許可を取得しなければ違法営業になり、処分を受け、荷主が是正指導を受けるのではないか?」とのご相談を、該当する事業者様より数多くいただいております。
この施行内容の解釈について、去る令和8年3月16日に国土交通省と環境省から共同で通達が出されました。
その内容は下記リンクの通りとなります。


廃棄物の処理と貨物自動車運送事業に係る許可等の関係について(周知)


通達の内容を整理すると下の表のようになります。


廃棄物収集運搬と処理業の運送業許可の考え方

判断基準

廃棄物処理を主たる
業務とする事業者

通達の具体的な説明 要件確認と結論
運送業許可が必要な運送

他人の需要に応じ、有償で、自
動車を使用して貨物を運送する
事業を行う場合

収集又は処分を伴わない廃棄物の
運搬行為のみを行う場合には運送
業の許可等が必要となる。

運送事業に該当せず
運送業許可が不要な運送

自己の生業と密接不可分であり
その業務に付帯するものとして
行う場合

廃棄物処理の主たる業務は廃棄物の
収集及び処分業務である。
廃棄物の運搬業務はこれらの業務を
完遂するために付帯する業務に該当する。

廃棄物処理業者が発注者である市町村や排出事業者と
締結した包括的な委託等契約に基づき、廃棄物の運搬と
その他の廃棄物の処理(収集又は処分)を一体的に実施
する場合において、当該委託契約に基づく業務の一環と
して行なわれる運搬行為においては、自己の生業である
廃棄物処理業務と密接不可分であり、その業務に付帯し
て行なわれる運送であるため、法の許可を要しないもの
として解される。

発注者である市町村や排出事業者と
締結した包括的な委託等契約に基づき、



廃棄物の運搬とその他の廃棄物の処理(収集又は
処分)を一体的に実施する場合


当該委託契約に基づく業務の一環として行なわれ
る運搬行為においては、自己の生業である廃棄物処
理業務と密接不可分であり、その業務に付帯して行
なわれる運送である



➀➁③をすべて満たしている場合は、運送業許可
不要な運送に該当


【結論】 
➀自己の処理場で処理を行う廃棄物処理事業者は
運送業許可の取得不要



➁市町村と包括的な委託契約に基づきパッカー車
などで収集運搬している一般廃棄物収集運搬業
(積み保なし)は運送業許可の取得不要


③排出事業者と包括的な委託契約に基づき収集運
搬している産業廃棄物収集運搬業(積み保なし)
は委託契約の内容と業務内容により判断される



④➀➁③に該当しない廃棄物収集運搬業者は運送
業許可を取得しなければならない

【参照条文】
貨物自動車運送事業法 第二条、第二条-2条、第三条  


【密接不可分とは】
非常に深く結びついていて、切り離すことが出来ない関係




廃棄物処理業者についての考察

産廃物処理業者と発注者である
市町村・排出事業者との包括的
委託契約の有無

一般貨物自動車運送業事業
(運送業)許可取得の可否

運搬事業者への
処分の有無

荷主への
是正指導の有無

産業廃棄物収集運搬処理事業者

必要
「排出事業者に対して」
廃棄物処理の実施や委託等の手法が
市町村や排出事業者ごとに異なること
から、その実態を踏まえ、各市町村や
排出事業者において適切に判断した上
で法令に則した業者選定が求められる

排出事業者と包括的な委託契約に基づき収集運搬
している産業廃棄物収集運搬業(積み保なし)は
委託契約の内容と業務内容により判断される

有り
無し

有り
無し

その他の廃棄物の処理

(収集又は処分)を一体的に
実施している事業者

必要 不要 無し 無し

収集または処分を伴わない

廃棄物の運搬行為のみ

行う事業者

包括的委託契約の有無に
かかわらず運送業許可が
必要

取得しなければ
違法行為

有り 有り

【当該委託契約に基づく業務の一環として行なわれる運搬行為とは】
自己の生業である廃棄物処理業務と密接不可分であり、その業務に付帯し
て行なわれる運送

要件確認と結論

【要件確認】
発注者である市町村や排出事業
締結した包括的な委託等契約
に基づき、



廃棄物の運搬とその他の廃棄物
処理(収集又は処分)を一体的
に実する場合


当該委託契約に基づく業務の一
して行なわれる運搬行為にお
いては、自己の生業である廃棄物
理業務と密接不可分であり、そ
の業務に付帯して行なわれる運送
である



➀➁③をすべて満たしている場合は
運送業許可不要な運送に該当



【結論】


➀自己の処理場で処理を行う廃棄物処理事業者は運送業許可の取得不要



➁市町村と包括的な委託契約に基づきパッカー車などで収集運搬している一般廃棄物収集運搬業(積み保なし)は運送業許可の取得不要


③排出事業者と包括的な委託契約に基づき収集運搬している産業廃棄物収集運搬業(積み保なし)は委託契約の内容と業務内容により判断される



④➀➁③に該当しない廃棄物収集運搬業者は運送業許可を取得しなければならない

 







まとめ


当職の考えとしては、個別具体的な事例はこれら積上げられていくように思いますので、【結論】③排出事業者と包括的な委託契約に基づき収集運搬している産業廃棄物収集運搬業(積み保なし)に対して、法改正後直ちに罰則が適応される可能性は低いと考えます。しかし事例が積み上がり指針が示されることにより運送業許可の取得が義務付けられる事業者に該当すれば許可の取得が求められます。
今回の法改正により、これから5~10年後の運送業界が大きく変わることは確かなことですし、運送業の仕組みを根本から変える取組みであることは間違いのないことであると考えます。
違法行為となれば、事業の継続自体が困難となる可能性がありますので、当然ながら該当する事業者には法令遵守のため運送業許可の取得が求められます。
求められるということは、貨物自動車運送事業法に規定される一般貨物自動車運送事業の許可要件を満たさなければならないと言うことになります。


一般貨物自動車運送事業の許可要件


当事務所では今後も、業界、行政の動向に注視しながら最新の情報を発信し、業務に取り組んでまいります。どうぞ宜しくお願い致します。