Gマーク認定制度とは

Gマーク認定制度とは

 

1,Gマーク認定事業所(安全性優良事業所制度)とは

国土交通省が推進し、安全性評価委員会が認定するGマーク認定制度(安全性優良事業所制度)は、2003年7月から始まった制度です。これは、貨物自動車運送事業者の安全性を客観的に評価し、認定、公表する制度で、簡単に言うと運送事業開始から3年を経過、一定の基準を満たした事業者については、申請し、認定を受けることにより、一定の優遇措置を受けられる制度です。

 

「Gマーク認定制度」の一番大きなメリットは社会的信用です。社会的信用は企業イメージの向上に繋がりますので、新規取引する際、自社を売込む大きなアピールポイントとなります。社員一丸となって取組む価値がある制度だと思います。

 

2023年3月末時点で、全国28,521事業所(全事業所の3割超)がGマーク(安全性優良事業所)に認定されています。また、認定取得事業所は、未取得事業所に比べ、事故割合が半分以下といったデータがありますので、安全教育・法令遵守を行ない、輸送の安全の確保に努め、一定の成果を挙げた事業所が、取得することができる制度と言うことができ、会社としてではなく、営業所(事業所)単位で認定を受ける制度となります。

 

 

 

認定を受けた場合の優遇制度についてですが、

・運送業許可や特車許可の有効期間の延長

 

・違反点数消去までの期間が2年間に短縮 (通常3年間)

 

・IT点呼の導入

 

・自動車保険の割引

 

 Gマーク取得のインセンティブ

 

 

などがあり、経費の削減につながるものが数多くあります。
それでは、制度の概要と認定基準をご説明します。

 

 

 

2,認定の要件➀~③は

大きく3つのグループに審査項目が設けられ、その項目ごとに振り分けられた配点の合計が100点満点中80点以上になることが認定の要件となります。

 

 

➀「安全性に対する法令の遵守状況」 
  配点40点

 

②「事故や違反の状況」       
  配点40点

 

③「安全性に対する取組の積極性」  
  配点20点  
合計 100点80点以上が認定要件

 

 

それでは、①~③の各審査項目について細かく見ていきます。下表をご覧ください。

 

 

➀「安全性に対する法令の遵守状況」

 

  (配点40点・基準点32点)

中項目 小項目 配点
1,事業計画等  1,乗務員の休憩・睡眠施設の保守、管理は適切か
2,帳票類の整備、報告等  1,事故記録が適切に記録され、保存されているか 3年間の保存義務
 2,運転者台帳が適正に記入等され、保存されているか
 3,車両台帳が整備され、適正に記入等されているか
3,運行管理等  1,運行管理規定が定められているか
 2,運行管理者に所定の研修を受けさせているか
 3,事業計画に従い、必要な運転者を確保しているか

 4,過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が
   作成され、休憩時間、睡眠のための時間が適正に管理されているか

 5,過積載による運送を行なっていないか
 6,点呼の実施及びその記録、保存は適正か
 7,常務等の記録(運転日報)の作成、保存は適正か
 8,運行記録計による記録及びその保存・活用は適正か
 9,運行指示書の作成、指示、携行、保存は適正か
10,乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行なっているか

11,特定の運転者に対して、特別な指導を行なっているか
   ➀初任運転者
   ②惹起運転者
   ③高齢運転者

12,特定の運転者に対して、適性診断を受けさせているか
4,車両管理等  1,整備管理規定が定められているか
 2,整備管理者に所定の研修を受けさせているか
 3,日常点検基準を作成し、これに基づき適正に点検を行なっているか

 4,定期点検基準を作成し、これに基づき、適正に点検・整備を行ない、
   点検整備記録簿等が保存されているか

5,労基法等  1,就業規則が制定され、届出されているか
 2,36協定が締結され、届出されているか
 3,労働時間、休日労働について違法性はないか(運転時間を除く)
 4,所要の健康診断を実施し、その記録・保存が適正にされているか
6,運輸安全マネジメント

 1,運輸安全マネジメントを的確に実施し、輸送の安全に関する計画の作成、
   実行、評価及び改善の一連の過程を円滑に進めているか

小計 40

・各項目の配点は、巡回指導において「適」の場合のみ加点とし、巡回指導後の改善は加点なし
・事業所により該当しない項目については加点する
・巡回指導時、書類不備による判定不能は加点なし

 

 

 

 

 

②事故や違反の状況

(配点40点・基準点21点)

中項目 小項目 配点
1,事故の実績

申請を行なった年の11月30日から過去3年間に、事業所の事業用自動車が有責の第一当事者となる、
自動車事故報告規則(国土交通省令)第2条各号定める事故がないか。

20
2,違反(行政処分の実績)

申請を行なった年の11月30日において、事業所に、貨物自動車運送事業法に基づく行政処分の点数が付加されていないか。
また、点数がある場合には、当該事業所に係る行政処分の累積点数は何点か。

20
小計 40

・事故の実績について、上記に該当する有責の第一当事者となる事故がある場合は0点、ある場合は20点とする。
・違反(行政処分)の実績について、累積点数が20点以上の場合は0点、
 20点未満の場合は、「20点ー累積点数」で求めた得点を加点する。

 

 

 

 

③安全性に対する取組の積極性

 

 (配点20点・基準点12点)

自認項目
グループ1 運転者等の指導・教育 1~4から最低1項目・最大3項目選択 各3点計9点
自社内独自の運転者研修等の実施(50%未満は1点) 3(1)
外部の研修機関・研修会への運転者等の派遣(選任運転者等以外は1点) 3(1)
定期的な「運転記録証明書」の入手による事故・違反実績の把握に基づく指導の実施

安全運行につながる省エネ運転を実施し、その結果に基づき、個別の指導教育を実施
している

グループ2 輸送の安全に関する会議・QC活動の実施 1~3から最低1項目・最大2項目選択 各2点計4点
事業所内での安全対策会議の定期的な実施
事業所内での安全に関するQC活動の定期的な実施
荷主企業、協力会社又は下請け会社との安全対策会議の定期的な実施
グループ3 法定基準を上回る対策の実施 1~4から最低1項目・最大2項目選択 各2点計4点
特定の運転者以外にも適性診断(一般診断)を計画的に受診させている

効果の高い健康起因事故防止対策
(健康診断結果のフォローアップ・脳検査・心電計・SAS)の実施

車両の安全性を向上させる装置の装着
(ドライブレコーダー・バックアイカメラは1点)

2(1)
ドライバー時間外労働時間960時間以下の先取り
グループ4 その他   1~6から最低1項目・最大3項目選択 各1点計3点

健康起因事故防止に向けた取組
(健康診断結果のフォローアップ・脳検査・心電計・SAS以外)

輸送に係る安全や環境に関する認証や認定の取得

国が認定する第三者機関による運輸安全マネジメントの受審
(上記2ISO等安全や環境に関する認証の取得から分離)

過去3年以内の行政、外部機関、トラック協会による輸送の
安全に関する表彰の実績

リアルタイムGPS運行管理システムなどの先進的運行管理システムの導入
自社内独自の無事故運転者表彰制度又は省エネ運転認定制度の活用

・QC活動=クオリティーコントロールの略
     事故防止や企業品質向上の為、10人程度の小集団で行なう改善活動

 

・申請時に提出された書類により、判断基準を満たした場合は加点します
・グループ1~4すべてのグループで得点しなければなりません

 

 

 

 

3,Gマーク認定制度の申請手順

申請業者(事業所単位)

【申請資格要件】
事業開始後、3年を経過していること
配置する事業用自動車の数が5両以上であることなど

申請

地方実施機関
都道府県トラック協会

申請書・証明資料送付

全国実施機関
全日本トラック協会

安全性評価委員会

【評価項目】
➀安全性に対する法令遵守の状況 配点  40点 ・地方実施機関の巡回指導結果
                基準点数32点 ・運輸安全マネジメント取組結果

 

②事故や違反の状況       配点  40点 ・重大事故
                基準点数21点 ・行政処分の状況

 

③安全性に対する取組の積極性  配点  20点 ・安全対策会議の実施
                基準点数12点 ・運転者教育などの事故申告事項

 

【認定要件】
➀上記➀~③の評価点数の合計点が80点以上
②上記➀~③の各評価項目において、上記の基準点以上
上記③の各項目グループにおいて、すべてのグループで得点していること
④法に基づく許認可申請、届出、報告事項が適正になされていること
⑤社会保険等の加入が適正になされていること

認定・公表

安全性優良事業所
Gマーク認定取得

 

 

 

 

 

 

私自身、大型自動車第二種免許を持ち、約10年間の実務経験があります。また、貨物運行管理者、旅客運行管理者、第一種衛生管理者、乙種第四類危険物取扱者の有資格者でもありますので、特定行政書士として「監査指導対策」から、「役員法令試験対策・貨物運行管理者試験対策」、輸送の安全の確保に欠かせない「運転に関する技術的指導」に至るまで一貫したご提案をさせていただきます。どうぞ、宜しくお願い致します。